小さなカフェを開業するために49歳の私がやったこと

お気に入りの家具と素敵な音楽と大好きなコーヒーに囲まれて小さなカフェをやってみたい。

そう考える方は少なくないようです。

 

カフェを開業することは憧れでもあり、夢でもあり…

お客様とお話ししていてそんな言葉もよく聞きます。

 

もしその言葉が本気ならすごく応援したいと思います。

「夢ではあるけど、何から始めたらいいのか分からない」という声も聞きますので、今回はカフェ開業にあたり、私が何をしたかをご紹介します。

コンセプトを考える

1.コンセプトを考える

始めはただ単に「カフェをやりたい」でしたが、その話を知人や友人にすると、決まって返ってくるのが

「そうなんだ!どんなカフェ?」

カフェ開業が憧れだった私は、当初その質問にほとんど答えられませんでした。

今考えるととてもお粗末な話です。

カフェ開業を口にし始めてからは「どんなカフェをやりたい」か「どんなお客様に来て欲しいか」を意識するようになりました。

それによって立地や広さ、必要機材、経営上の数字も変わってきます。

多忙なランチタイムは別として、カフェとして一日に必要な業務のほとんどを一人で抱えないといけないのですから、提供メニューも絞らないといけません。

メニューを絞るとき、「誰目線で」を考えないと絞り切れませんよね。

 

そして私のように一人で営業するスタイルのいわゆる「こじんまりしたカフェ」というのは、街中にいくらでも転がっていています。

現に私の店の周りにも、似たような客席数のカフェが大手・個人店合わせると10件近くあります。

「こんなお客様向け」「こんな利用動機があるとき向け」を打ち出さないと、近くのカフェと変わりがない。

言葉は悪いですが、お客様にとって対して差のないものになり、すべてのお店でお客様を奪い合う形になってしまいます。

 

営業しながら求めるお客様の層を変えていくことは可能ですが、せっかく来ていただいていたお客様が来にくくなるというのはできれば避けたいので、はじめに決めておいてその方々が心地よく過ごしていただけるようなお店づくりをすることが重要だと今は考えています。

コンセプト作りの参考に。おすすめの本はこちら

資金作り

2.資金作り

私はお金が理由で何かを妥協したくないと思いが強く、開業本などで言われている「内装工事は坪あたり60万、設備費用を考えると坪当たり100万」を借入を含め調達できてから開業しようと思っていました。

開業を決めてから工面した自己資金は600万、借入金600万、計1200万でスタートしました。

 

そうは言ってもできればなるべく低予算でと思っていたのではじめは居抜き物件を探しました。

しかし、居抜き物件は費用を抑えられる反面、設置している機材や家具ありきになってしまうことが見えてきました。

「このカウンターは高さが気にいらない」「キッチンはドライキッチンに変えたい」「壁紙もやり直したい」「造りつけのソファは要らない」などやり直しをしていると結局スケルトンとさほど変わらない物件もありました。

また什器が残置してあると一瞬買わなくて済むなとも思いましたが、居抜きの物件に残置してあるものは使いたくないなと思うほど汚れているものもありました。

お店を閉めるのですから、閉めるなりの理由がこういうところにあるのでは…と思ったことも(笑)

中古品なので開業してすぐに使えなくなったり、メンテナンスが必要になり、予定していないお金がかかることもあります。

 

そういったトータルでかかる費用を踏まえた資金作りが必要だと思います。

 

また設備資金のほかに必ず用意するべきは「運転資金」です。

開業直後はスタッフにも慣れてもらうため、多めにシフトに入ってもらうことがあります。

私のお店でも最初の1か月はランチタイムは2人のスタッフに一緒に入ってもらっていて人件費は2倍かかりました。

提供食数が決まらないうちは食材の管理も不慣れなのでロスも多くなります。

準備したつもりでも消耗品が足らなくなったり、販促活動に掛ける費用も多くなります。

営業初月からの黒字は難しいものです。

そのために半年程度赤字が続いても不安なく生活できるくらいの余裕資金を置いておく必要があります。

 

そして余裕資金があるからと懐具合が緩くなるもの問題です。

私は運転資金として手元に置いたはずの100万円が、あっという間に無くなってしまい、そのあと資金繰りに毎月頭を悩ませるツキが1年近く続いてしましました。

決して無駄遣いしたわけではない、「必要なもの」だと思って支出していましたが、今考えるととても甘い。

開業すること、経営をすることは、家計を守る以上にシビアな金銭感覚が必要だと痛感しました。

 

こんなにかかる、開業費用内訳公開

物件探し

物件を探すには
物件を探すには

  • 地元の不動産屋さんに聞く
  • 店舗のマッチングサイトに登録する
  • 自分で歩いて回る

などがあります。

不動産屋さんも得意分野(店舗か住宅かなど)や持ち分があり、どこでも同じ物件を仲介してもらえるわけではありません。

ですので、懇意にしている不動産屋さんがある場合は別として、複数の不動産屋さんにコンタクトを取る方がいいかと思います。

また、不動産屋さんに閉店店舗の情報が届く前に次の借り手が決まってしまうこともあります。地元で出店したい場合は日ごろから店舗の閉店情報にアンテナを張っておくことが重要です。

マッチングサイトも不動産屋さんと同じですべての店舗情報を網羅しているわけではありませんので、多くのサイトに登録して情報を仕入れる必要があります。

気になる物件があれば、必ず自分で現地を訪れ、店舗そのものを見るだけでなく、駅からどのルートを通るのが一般的なのか、店周辺にランドマークはあるか、そこからの人の流れはどうか、店の前に駐輪スペースがあるか、コインパーキングは近いかなど、お客様の導線を予想することが大切です。

ちなみに失敗談として私の例を紹介します。

私の店はスーパーが近く、人通りはまずまずですが、スーパーと私の店の間にある四つ角で人の流れが分散され、私の店の前はあまり人が通りません。

よく開業予定地の前で一日中張り付いて人の通り、数などを時間帯別、曜日別などに分けて調査すべきという話を聞きますが、決して大げさな話ではないと感じています。

現地の確認(店を営業している時間帯の)をもう少ししておけばよかったと思っています。

内装工事の相見積もりを取る

4.内装工事の相見積もりを取る

物件が決まったら、内装工事の開始です。

まずは合い見積もり。

私は不動産屋さんに紹介していただいた施工業者、マッチングサイトで反応があった業者3社、計4社から相見積りを取りました。

どのような感じのお店にしたいか、席数をどれくらいとりたいか、予算はいくらかなど、現状で決めている希望は細かく伝えるとそれに合わせた図面を作ってくれます。

私がお世話になった業者さんは、一見関係ないと思われることでも快く受けていただきましたのでラッキーでしたが、業者によっては見積もりに記載されている以外のことを依頼すると別に料金がかかる場合もありますので、設備什器を一緒に調達してくれるのか、家具の荷受けや包材の処分をしてくれるのかなども確認しておくといいと思います。

また、アフターフォローについてどの程度早急に応じてもらえるのかも確認が必要です。

 

お店を始めてから「ここがちょっと不便」ということは結構頻繁に出てきます。いくら初めの工事費が安くても、アフターフォローが行き届いていないと、その都度営業を休んだり、不便なままお客様にご迷惑を掛けたりすることもありますので注意しましょう。

工事が終われば他の現場の仕事が優先、こっちは急いでいるけど向こうも多忙でなかなかメンテナンスに来ていただけないということも私は実際にありました。

内装工事の引き渡しまでが工事業者さんとのつながりではないので、信頼関係を築くことが大切です。

公的機関に必要書類を出す

開業届

5.公的機関に必要書類を出す

税務署へ開業届けを出します。

開業届そのものは難しい書類ではないですし、記入事項もさほど多くないので、窓口で教えてもらいながら書くこともできます、

開業届を出せば、開業に少しでもかかわるものは全て経費として申請できますのでまずは提出を忘れずに。

特に初年度は赤字で終わることが多いからすぐに開業届を出さなくてもいいという方もいますが、

今回のコロナ禍の補助金は「開業届を提出していること」が条件で、私の知っているお店さんも何件かもらえないといったことがありました。

本来ならばやるべきことというのはやっておくに越したことはないですね。

 

青色申告

また併せて青色申告(確定申告)の届もできれば出しておく方がいいです。

簡単な事務作業で申告できる白色申告もありますが、飲食業は他の業種と違って毎日の支出が多い(仕入れなど)業種です。

また最近ではキャッシュレス決済も多く、入金の照合なども必要です。

きちんと整理しておかないと自分の店の収支がすぐに分からなくなります。

最近では経理作業未経験者でも簡単に収支の計算ができる会計ソフトもたくさん出ていますので、自分の店の経営状態や改善点などを把握するためにも帳簿付けは必須ですし、結果的に青色申告できる資料はすぐに揃います。

青色申告には

  • 欠損金の繰越(赤字を翌年に繰り越せる)
  • 青色申告特別控除(収益から控除できる)

など税法上の優遇措置もあります。

 

飲食店営業許可

営業を開始するには営業許可も必要です。

営業許可取得には保健所の認可が必要になります。

保健所に申し込みに行くと現場確認の日取りの調整があります。

工事が終了し確認してもらう段になって是正事項があると、工事をやり直さないといけなくなり余分な費用が掛かるだけでなく、決めたオープン日に間に合わなくなることもありますので、事前に図面をチェックしてもらうことが必要です。

その他、焼き菓子類の販売(テイクアウト)をする場合は、製菓製造の許可も必要です。

カフェに最低限必要な資格は何?

カフェ開業に必要な許認可手続きはこちら

厨房機器を選定する

6.厨房機器を選定する

大きな厨房機器だと

  • 冷蔵庫・冷凍庫・コールドテーブルの冷機器
  • ガスレンジ・オーブン・フライヤーなどの熱機器
  • シンク
  • 食器洗浄機
  • 食器棚

などがあります。

どの機器を入れるかは自分の提供するメニューで必要な材料、その材料の仕入れロット、提供食数によって決めます。

多くのメニューを提供するとその分たくさんの材料を収納しなければならない、仕入単価が安いからと大量ロットで仕入れると同様に収納スペースが必要です。

サイズはお店の厨房に合っているか、工事業者に相談して決めます。

購入方法は内装工事業者側で調達してくれる場合と、自分で通販業者から購入する場合があります。

内装業者が調達してくれる場合、作業のしやすい寸法の什器を入れてくれるので動線を失敗することはありません。

搬入も工期に合わせてしてくれるので任せることができますが、金額は高めです。

新品がいい、でも少しでも安く買いたいなら厨房機器のネットショップで買うことをお勧めします。

中古でもいいのでできるだけ安く買いたい場合は、厨房機器を取り扱っているテンポスバスターズなどのリサイクルショップに行ってみるといいでしょう。

ただし中古品はリサイクルショップ側で保証がない限りはいつまで使えるかわかりません。数日で壊れる可能性もありますし、そうなると業務用の機材は修理費用がとても高いです。

どちらにしろ、選んだ什器が物理的に搬入可能なのか、設置したあと厨房が使いにくくならないか、工事業者に相談する方がいいです。

納入日も工事業者と調整して工事進捗の妨げにならないようにしましょう。

私の場合「ネットショップが一番安いので自分で発注してもらって、荷受けと設置はこちらでやりますよ」と工事業者さんにアドバイスいただけてとても助かりました。

工事業者選定のところでも書きましたが、そのあたりも業者との信頼関係が大切です。

カフェに必要な厨房機器はこちら

仕入業者を決める

7.仕入業者を決める

仕入業者を決めたら各食材の単価の見積りを取ります。

小さなカフェでも食材の使用量は家庭とは大きく変わります。

業務用の食材は容量も多く、パッケージが簡素なので割安です。

野菜や肉などの生鮮品は専門の業者から仕入れると良いものも入りますし、調理や保存の仕方なども教えてもらえます。

ある程度まとめて発注することで配達もしてくれます。

「まとめて発注する」ことが初めは慣れないと思いますが、慣れてくると原価も安定してきますし、その分利益が残りやすくなります。

ただしまとめると収納スペースも取りますのでまとめ過ぎも考え物。

仕入業者はマッチングサイトでも探せますし、知り合いに飲食店さんがいらっしゃれば紹介してもらってもいいと思います。

こだわりの食材を使いたい場合は、ネットで直接業者とやり取りもできます。

電話は恥ずかしくてもメールなら送りやすいですし、実際私もメールでやり取りし、産直の野菜や卵、砂糖、コーヒー、紅茶などお取引しています。

家具を決める

8.家具を決める

カフェの空間作りに大切な家具や照明は、カタログで大きさや形を見るだけでなく実物で質感を見る方が大切です。

できればショールームを一度は訪れてみるのがいいと思います。

消耗品を購入する

9.消耗品を購入する

まずは食器から。

サンプルを出してくれる業者を探してみましょう。

ネットで検索するとたくさん出てきます。

ブランドの食器を使いたい場合もネットで問い合わせるかショールームへ行きその旨伝えると、営業担当者を紹介してくれます。

カトラリーも小売店で買うより業務用専門店のほうが種類も豊富で値段も安いです。

おしぼりは布製の貸しおしぼりにするのか、使い捨てにするのかも決めないといけません。

布製のおしぼりの方がお客様は喜ばれると思いますが、使用済みのものをどこに置いておくかが問題です。

毎日回収に来てくれるわけではないので、小さなお店では保管場所に困るかもしれません。

使い捨てのおしぼりもある程度は保管場所が要りますが、分散しておくことは可能ですね。

また、お気に入りのタオルを購入して自分で洗濯しておしぼりとして使用する方法もあります、毎日のことなのでちょっと大変そうですが。

コースターや紙ナプキンはホームセンターにも売っていますが、自分の店のロゴを印刷する場合は見積もりしてもらいます。

ただし印刷だとロットが大きくなります。

コースターは1000枚、紙ナプキンは10000枚が目安です。

そのほか調理器具、清掃用具なども揃えます。

一口に「備品・消耗品」といっても多岐に渡りますので、チェックリストで買い忘れや納期遅れのないようにしましょう。

実際に私がそろえた備品一覧

スタッフの求人を始める

10.スタッフの求人を始める

求人の方法は様々ですが、まずは工事中の店舗の前にPOPを貼りだしてみましょう。

SNSなどでお店の情報を投稿すると、なぜか求人情報誌から連絡が来ます。

良く調べていますね。

初回割引などのお得な求人プランを提案してくれたりします。

ハローワーク(職業安定所)に登録する方法もあります。

オープニングスタッフはたくさん応募があります。

私のような小さい店でも30人以上の応募がありました。

大切なお店の最初を支えてくれる大事なスタッフです。

金銭面で折り合いがつくかや今までの経験よりも自分の店のコンセプトをきちんと理解して動いてくれそうかの方が大切です。

志望動機などは大切なチェック事項、面接も一仕事です。

採用になる人はもちろん、不採用になった人にも礼儀を尽くしましょう。

この頃になると準備も佳境でとても忙しいです。

連絡が遅れがちにならないようにしましょう。

採用が決まった人とは雇用契約書を結びます。

勤務開始までに労働基準監督署へ労災保険の届け出をします。

週20時間以上の勤務が見込まれるスタッフについては雇用保険の対象になるので併せて届けます。

小さなお店でもコンプライアンスはきちんと守ることが必要です。

長く働いてもらう方が自分は楽ですが、飲食店の収益を一番抑えているのが「人件費」と言われています。

身内ではないのでお店が暇な日でも帰って欲しいとは言いづらいものです。

働かなければ賃金が下がりスタッフも困ります。

どの程度までなら人件費がかけられるかをきちんと計算しておきましょう。

小さな店ならピークタイム以外は一人で切り盛りするのが黒字化への早道です。

実際の厨房機器を使ったオペレーションの練習をする

11.実際の厨房機器を使ったオペレーションの練習をする

内装工事が終了して引き渡されたら、実際の厨房機器を使って、実際の仕込み量で調理練習をします。

○○人分のつもりで仕込みしても実際にやってみると想定した食数が取れないことが時々あります。

営業中に何グラムなどと測っている時間はありません。

レードルでこのくらい、見た感じこのくらいなど目視で計量できるように。

オーダーから提供まで10分以内に出せるか、複数のオーダーが重なったらどういう順序で処理していくかもある程度シュミレーションします。

思ったより仕込みに時間のかかるメニューはあまりお勧めしません。

仕込みはほぼ毎日。

どの料理・お菓子にどのくらい仕込み時間がかかるかでメニュー構成を変えたりして無理のないようにすることが必要です。

スタッフと接客や勤務について共有する

12.スタッフと接客や勤務について共有する

お店をうまくやっていくには、スタッフとの信頼関係が一番です。

あいさつ、オーダーの取り方、料理のサービスの仕方、会計の仕方、お見送り、満席時の対応、電話予約の受け方など細かなところまで打ち合わせしましょう。

スタッフに任せるのはもっと時間がたってから。

最初は自分で決めたとおりに動いてもらいましょう。

あなた以上にスタッフは不慣れで不安です。

シフトを組んでいる場合はシフトの確認方法、いつまでに希望シフトを出してもらうか、いつまでに勤務シフトを決定するか、休む場合はどうするかなども決めておきます。

プレオープン

13.プレオープン

関係者、友人を呼んでのお披露目と、動線やサービスの確認になります。

お客様が知人なので多少の失敗も許されますし、むしろ失敗が多く反省点のある方が本オープンへの糧になります。

アンケートなどで問題点を出してもらい、本オープンに備えましょう。

本オープン

本オープンをスタート!

まとめ

物件が決まると前家賃が発生するのでできるだけ早くオープンにこぎつけたいものです。物件決定前にしておくこと、決まってからすること、入居してからすることなど時系列にやるべきことをリストにし、一つ一つ消化していきましょう。

 

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